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菊池 亮佑*; 堀内 美里*; 西塔 祐稀*; 石渡 翔丸*; 西木 悠人*; 佐藤 努*; 高山 裕介; 三ツ井 誠一郎
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、廃棄物の周囲に緩衝材として膨潤性粘土を利用することが不可欠である。緩衝材は、十分な膨潤圧と自己シール性、低透水性を長期間維持する必要があり、ベントナイト緩衝材の主成分であるモンモリロナイトが様々な環境条件下での長期にわたって健全に保たれることが重要である。変質過程の一つとして、シリカなどの二次鉱物の析出による粘土のセメンテーションが懸念されている。本研究では、セメンテーションを被ったベントナイトのアナログとなりうる、天然のベントナイト原鉱石について、特に固結したベントナイトの微細構造に着目して調査した。山形県の月布鉱山からベントナイト原鉱石を採取し、観察に供した。このベントナイトについては火山灰の続成作用によって形成されたと考えられている。完全乾式研磨法によって、ベントナイト原鉱石のオリジナルの微細組織をよく示す平滑な面を形成することで、通常の岩石の観察と同じように岩石学的な議論が可能となった。ベントナイト原鉱石には粗粒な石英以外に、数ミクロンからサブミクロンサイズの微細なシリカが普遍的に観察される。分布に着目すると、微細なシリカが不連続状・短鎖状・クラスター状になっていることが特徴的である。こうした分布は閉鎖的な続成過程中での低いシリカの移動性によって形成されたことを示唆する。微細なシリカとモンモリロナイトを含む部分について、収束イオンビーム装置による切り出しを行い、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を実施した。TEM観察ではモンモリロナイト端面と微細なシリカが直接接合する組織を示した。本研究で見られるようなモンモリロナイト端面が石英と接合する組織は、物理的混合ではなく、続成過程において自生の石英が形成される際に構築された組織であると解釈される。こうしたモンモリロナイト端面のシリカによる被覆は層間への水のアクセスや自由な膨潤を妨げ、膨潤圧の低下を招いている可能性が示唆される。